
本日ご紹介するのは、夏前にいただいたフルオーダーのご相談からお作りしたミニ畳。
ご依頼主様は関西地方にある神社の神主様で、新たにお迎えすることとなったご神像の安置に相応しい畳を探しているとのことでした。
通常より厚みがある“厚畳”
厚畳(あつじょう)とは…
平安時代から京都御所での即位式で使われ始めたとされる厚みのある畳のこと。
その畳縁(たたみべり・布地部分)には、天皇・三宮(皇后・皇太后・太皇太后)・上皇のみ使うことの許された、当時では貴重で最高の織物である繧繝錦の繧繝縁が用いられ、それはまた神仏の前に座る半畳にも繧繝縁が使われたとされています。
10月22日に執り行われた天皇陛下の『即位礼正殿の儀』。
この時、まさに天皇がお座りになる高御座と、皇后様がお座りになる御帳台に繧繝縁を使った厚畳が敷かれているのがテレビに映っていましたので、目にした方もいらっしゃったかと思います。
格式高い歴史を感じさせる厚畳
そのミニバージョン。
今回はお客様のご希望で繧繝縁ではなく、繧繝柄の金襴(きんらん)生地 と、畳表(たたみおもて・ゴザ部分)は黄金色が美しい龍鬢表(りゅうびんおもて)を使用してお作りしました。
9月に無事納品を終え、そして10月31日は安倍晴明公の1014年目のご命日とのことで、「賑々しくお祭りを執り行わせていただき、こちらの坐像も公開と相成りました。」と、一般公開を終えて鎮座しているお写真を送ってくださいました。


15.5×15.5×4cmの厚畳は、お客様のご希望サイズより少し小さめ。
これは本来の畳の上に敷かれる厚畳とは違い、視線の高さに置かれることが想定された厚畳でしたので、側面の繧繝の柄を美しく見せるために変更のご提案をさせていただき、このように作らせていただきました。
今回の制作では、畳床(たたみどこ)を均等にカットして作るところから、いつも以上に神経を使い、また制作工程のイメージトレーニングも繰り返し繰り返して完成したミニ厚畳。
私にとってものすごく貴重で良い経験となりました。
A様 大変貴重な機会をありがとうございました。